不倫と恋

9. 恋--既婚女性と既婚男性の恋

既婚女性と既婚男性との間も似たように、毒花の妖艶さとは程遠い状況になる。
恋を得た二人は、お互いに今までの生き方を考え直すかどうか考え悩む。
この恋には、大人世界の妖艶さはあるだろう。
しかし、リスクをどちらも抱え、恋に本気で翻弄されて、いかにも人間らしい。
この恋を成就させるためには多くの現実を壊さなければならない。
半端でない覚悟が必要になってくる。
つまり、欺瞞や、思いあがる余地など入り込むことが出来ない、 とんでもない危険の中の恋ということだ。
恋は、障害が多いほど、大きいほど燃える性質のもの。
既婚者同士の恋は、狂おしく燃え尽きるか、男性の片方の自分が、
社会的責任を全うする決断をしての別れになるか。

いずれにしても、お互いに恋が誕生するまでの6段階を経て今に至っている。
リスクを抱えた同士の恋は、人の道を外した不倫ではない。
両者共、恋心を持てない結婚生活を送っていたはずである。
長い年月感じ続けた心の中の寒い風。
冷え切っていた心に、炎が灯ったのは奇蹟のようだから、恋を失いたくない。
この恋を、決して放さない、育てよう。
そう決心する前に、両方の家庭が音を立てて壊れる様子が見えてしまう。
そう、両家を崩壊させる原因の亀裂は、もっと以前からあって、
それを見ないようにしてきた欺瞞の生活があった。

家庭は、夫婦のものであって、子どものものでも親のものでもない。
だから、夫婦の心にある亀裂には、真剣に立ち向かうべきなのだ。
それを、見ないようにして生きるのが問題なのだ。
誰の人生も、何かのために犠牲にするものではない。

限りが決められた人生を、1日たりともいい加減に過ごすのは、罪になる。
生命を自分だけの力で得たとは、誰も考えない。
しかし、そのことに感謝をしていないから、何かのために人生を犠牲にする。
自分の心を大事にして、自分の夢に向かってこそ、宇宙は褒めてくれる。
それが、既婚者同士の恋だとしても、心が燃えたのなら、正しい状況である。

しかし、ここでも、既婚男性が片手で恋をしていることは大いにあることだ。
片手で家庭を護り、片手で恋をする。
男にはそれができる。
では、恋の裏切り者とうことか。
しかし、女性も既婚者であるならば、男の本性は理解しているはず。
了解の上ということである。
ここに、やっと大人同士の恋があった。
女性は二人で生きないから、恋に殉じるのが自然なのだが、 男性はそうではない可能性は充分にある。
しかし、それを納得した上の恋であれば、誰もそれを批判はできないことだ。
男性の家庭には、亀裂がないことだって考えられる。
ただし、だからと言って、男性が片手で恋をしても罰は当たらないか。
恐ろしいことには、罰は時間が経ってから、必ず宇宙から下される。
一人分の愛もかけてもらえない、半分のままの人生という恐ろしい罰が。



copyright (C) 2010 All rights reserved Mizuho Mi Suguri