女と男の恋愛図

4. 女と男の違いを理解する

その答えは先ほどのお話の様に、恋に全身で堕ちるか半身だけ堕ちるか ということと、
もう一つ重要なのは、女と男との違いのためなのです。

それは、女性は一ヶ月を五人に分身して生き、 男性は一日を二人分で生きる。
両者は生き方も、生きる責任も、根本的に違うところにあります。
この違いは、恋とか結婚とか、双方が相対する立場で、 共同作業をする状況になって
初めて気づくことで、 通常の生活では見え辛いかもしれません。
女と男は、性を真中に持った時だけ、正面から相対しますから。

しかし、これを理解しなければ、恋を愛に昇華させる人生は手に入りません。
女性と男性とはお互いにまるで違う「いきもの」。
だから子どもが誕生するのです。
性によって女性と男性は愛し合い共同作業に励んでいたかと思えば、
憎み合い、殺しあうことまでもするのです。
この様に、女性と男性とは、陰と陽の関係ではなく、 ずっと遠い存在だという理解しないと、
生活を共にしながら 裏切られた気持ちになり、不幸な人生をおくることになりましょう。

愛は、自分から遠く距離のある者の方へ届きやすいものです。
親と子、女と男、近くに居る人より遠くにいる人、 人間と動物、人間と植物等など。
女と男とは、実に遠い所にいる異種の者同士だから愛し合えるのです。

わが国は歴史的に、性の交わりや恋などは罪悪の一部のように扱って きたので、
恋に堕ちたことがない人たちも多かったのです。
そして男性と女性とは、人間の格まで上下の関係だと考えらていたので、
思春期の男女が結婚前に一緒に歩いたり話したりするのは、
道を外した不埒者と批判されたりもしました。
しきたりで結婚し、親になり、家族愛の中だけで、人生を閉じた例もみてきました。
人間の心としては、ずいぶん残酷な平和だったのではなかったでしょうか。
現代では、愛を感じない男女が子どもを持つ方が、不自然に思えますが、
どちらにしても、人間として持った感性を働かせないことで保てる平安が、
心を豊かに、幸せにしたとは、考えられないことです。

さて、恋は女性にとって損、男性だけが得をするのかと言えば、 それは大違いです。
恋の後日談を。
失恋の涙にくれている女性が涙をぬぐうこともせず、訴えています。
「身体の真中あたりから、重く冷たい何かに引き摺り下ろされる苦しさがあって、
うっかり横を向いただけで涙が溢れ出してしまいました」
悲しくて、辛くて、恋しくて、ああ淋しい、辛くて堪りません。
何でこうなったのかしら、何故? 
どうして彼の心はそんなに簡単に変わってしまうの。
あんなにかたく約束したことを、どうして簡単に忘れられるの?
嘘よね、嘘でしょう。
電話を見つめて、着信を待って、一分が一時間に感じて・・・ああ、もう駄目。
昨日まで一緒に恋の池で泳いでいたと思ったのが、実は大きな勘違いだったの?
もう待ちきれなくて、電話をかけてしまいました。
「どうして連絡してくれなかったの」
「えっ、う〜ん、ちょっと忙しくて、ごめん、また電話するから」
やっぱり本当に恋は終わっていました。

でも、それから数日経って、大泣きした女性が、すっきりした顔で、
今まで以上に美しくセクシーになって立っていました。
「ええ、もう諦めました」
失恋の深い池に落ち込んでいた女性の、鮮やかな変身ぶりには驚かされました。
しかし、良かった良かった。
一方、男性はと言えば、女性の泣き顔も知らず、相変わらず活気にあふれ、
自信満々、その雰囲気がまた魅力になって女性の心を惹きつけています。
仕事も順調にこなしています。
これでは、やはり恋は男性のためにあるみたいで、不公平極まりない。
しかし数年間は女性より有利だったはずの恋多き男性ですが、
ある年齢を過ぎた頃からがっくり精気を失い老け込んで、
おじさんっぽくなってしまいました。
それに対して、失恋に泣き通しだった女性は、年齢を増すごとに 上品な艶と色気が出て、
しっとりした大人の女の魅力を香らせるのです。
その差は年々大きくなり、枯れた男性と瑞々しい良い女性ということで、
最終的には、長い年月、失恋の大泣きを繰り返した女性の勝ちみたいです。

いずれにしても、人間的に魅力的だったから熱い恋が発生したことですから、
女性男性とも、恋多き人には、何ともいえない魅力、人生の味が感じられるものです。
人生やった者の勝ち、恋もやはりやった者の勝ち。
たくさんの恋を味わって、歓んで苦しんで、色鮮やかな人生が素敵です。
女性も男性も、人生の華をきっちり味わって、 納得できる生き方を探して行きたいものです。

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